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店舗や施設のディスプレイ・装飾、飾り付けなど販促企画を考えるヒント
日本の美学「いき」を考える
先日、「いき」について解説しているテレビ番組を観ていて、「いきな○○」という日本の美意識は、店舗のディスプレイや装飾を企画制作するとき、広告や販促物、デザイン・コピーを考えるとき、または、ビジネスや店舗運営を考えるときにも通じるものがあるんじゃないかと思いました。
「いきなーー」の「いき」です。
「いきでいなせな○○」とか、「いきな行動」とか、「いきなお店」とか、「いきなおじさん」とか。
逆に、「いきではない」おじさんのことは「野暮なおじさん」といいます。
「いき」って、クリエイティブに関わる仕事をしていると、デザインを創ったとき、出会ったとき、評価されるときにも、よく使われる表現です。
店舗のディスプレイ・装飾のデザインを制作するときや仕上がったときにも、出てくる言葉です。
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「いき」って、ほめ言葉ですよね。
相手に自分が創ったデザインについて「粋なデザインですねぇ〜」と言われると、「かっこいい」とか「上品」とか「渋いですねー」とか言われるよりも嬉しい気分になります。
「粋〜いき」って、決して具体的ではないけれど、絶妙に嬉しい。
それは「いき」が日本人独特の美意識だからなんですね。
私たちのようなデザイン関係の仕事をしている人間は、常にデザインを通して「粋な」モノを目指しています。
「イキなデザイン」、「イキなディスプレイ・装飾」を創りたい。
いつもそう思っています。
デザインやクリエイティブの仕事は人の感性で表現されます。
デザインやクリエイティブには「明確な答え」などありません。
良いデザイン、悪いデザインなど観る人、受ける人それぞれで異なり、曖昧で、結構いい加減なものです。
だから、デザイン制作やクリエイティブで迷ったり、壁にぶつかったり、悩んだり、困ったりすることがあったら、人々の「美意識」や、自分の「美意識」について考えを深めた方がいいのではないでしょうか。
そして、日本人の美意識として、一番分かりやすい美意識が「粋〜いき」だと思うのです。
では、「いき」という美意識とは? いったい何でしょう?
番組の中で、編集工学研究所の松岡正剛さんが『日本人の美学』というテーマで『心の交情 揺れ動く姿』や『失って、初めて解る「本質」の美意識』がよく表わされているという、『九鬼周造著:「いき」の構造』を推薦、紹介。
これが特に面白かった。
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現代でも使われている『いき』。
「いきだねー」とか「いきでいなせ」とかに、使われている「粋いき」。
江戸時代から庶民の生活に根付いている「いき」という美学の概念。
そう言われれば、「いき」っていう言葉は、現代でも多くの人々が使っているけど、なんとなく使っているだけで、「『いき』とは何?説明してください」と、聞かれたら「………」説明できない。
「かっこいい」とか軽い感じでもないし、「上品」では何だかモノ足りない。
「高級な」では意味不明だし、「渋さ」だと微妙に違う気がしたり…。
なんとなく、曖昧で、都合よく「いきだなっ」て思ったりしている。
もっと心情的で、情緒的で、心の価値観だったり….
その「いき」を、何が「いき」で、何が「いきじゃない」のかを明快に分析、論理的に説明してくれているのが、この本です。「いき」を真正面から取り上げて分析、意味づけをほどこし、提示している。
著者は「いき」を「垢抜けて、張りのある、色っぽさ」と捉え、感覚的であった「いき」という日本人独特の美意識を、3つの要因に分解して明快にすっきりと説明している。
店舗のディスプレイや装飾、デザイン制作、プランニングなどのクリエイティブな現場はもちろん、日々の生活、この先の人生なんかに役に立つような気がしたので、ご紹介します。