こんにちは。ただ単にスペースを埋めるための「置き物」や「飾りモノ」ではない、「集客」や「販売促進」のための店舗装飾・商品ディスプレイ・飾り付けをお店や施設・売り場にご提案している有限会社次元クリエイトの野村です。
ボクは、以前マネキンの会社に勤めていました。
もう20年くらい前なんですけど…
マネキンとは、マネキン人形です。
百貨店やショッピングモール、ブティックなどに飾っているあのマネキン人形です。
マネキン人形を通して、お店や施設、売り場のディスプレイ・店舗装飾、飾り付けの仕事をしていたんです。
今回は、そのマネキン人形のお話しです。
Contents
お店や施設のディスプレイ・店舗装飾に使用するマネキン人形の「マネキン」という名前の由来
マネキンは、お客様を「招き入れる」からマネキン!?
皆さんはご存知でしたか?
百貨店やファッション関連のショップにディスプレイされているマネキン人形の「マネキン」という名前の由来は、フランス語で「モデル」を指すmannequin(マヌカン)のことなんです。
で、日本においてマネキン人形が輸入された当時、フランス語のマヌカンのままだと「客を招かん(まぬかん)」となって縁起が悪いということで、「客を招き(まねき)」(マネキン)が用いられるようになった、ということです。
ちょっと強引ですね(笑)
「マヌカン」と聞くと、日本では1990年前後のバブル期に、婦人服を販売するブティックの店員をすべて「ハウスマヌカン」と呼んでいた時期もありました。
が、しかし元々の「ハウスマヌカン」とは、ヨーロッパのブティックにおいて富裕層向けにモデルを雇用し、彼女らを「ハウスマヌカン」(これも造語)と呼び、英仏では定着した呼称なんです。
つまり「ハウスマヌカン」とはモデルさんのことなんです。
その「ハウスマヌカン」を雇用しているブティックは、ファションショーを開催し、観客として来店した顧客(当然富裕層)が「ハウスマヌカン」つまりモデルが着ている服を品定めして購入する、という販売形式がとられていました。
他人との差異を求めた「顕示的消費」や、ブランド志向的な「記号的消費」の販売形式です。
洋服は、着こなしやスタイルで大きく変わる商品です。
ファッションショーは華やかで魅惑的で「憧れ」や「羨望」に溢れています。
やっぱり、スタイルのいい、美しい女性が着ている服は、男性のボクから見ても魅力的ですもんね。
当然、一回の購入単価は高額になります。
なんて贅沢なお買い物(笑)
因みに、日本で「マネキン」と言えば、店頭や売り場において各種商品の宣伝や販売促進をおこなう販売員(宣伝販売促進員)もマネキンと言いますが、その由来も同じです。
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マネキンは、服飾のスタイルや特徴を「魅力的」に「カッコ良く」飾る装飾・ディスプレイツール
だから、マネキン人形は「ハウスマヌカン」の代用みたいなものです。
百貨店やショップで洋服を販売するときは「モデル」のようなスタイルの販売員だと良いのですが、そんな人って一般的にそうそう居ませんよね。
当時からマネキン人形は、販売員がいなくても商品をアピールしてくれる「販売促進」のツールとして、百貨店や販売店で重宝されていました。
日本のマネキンメーカーは、和装からはじまり、やがて洋服が普及すると洋装のマネキンを作りはじめることになりました。
戦後日本の復興時期に、欧米で大量に生産された「洋装の服」が大量に輸入され、日本の消費者は「憧れ」や「羨望」など「記号的消費」や「顕示的消費」で大量消費していきます。
マネキン人形のお陰で「洋装の服」が日本に普及した、といっても過言ではないくらい、洋服の「販売促進」にマネキン人形は貢献したのです。
日本において本当の意味での「ハウスマヌカン」は、マネキン人形だったのかもしれません。
一般的なマネキンは、外国のモデルさんのような体系(決して日本人的体系ではない)やポーズなんですけど、それは店頭や売り場で「商品」である洋服のスタイルや特徴を、魅力的にカッコ良く飾り、お客様に伝えるための装飾ツールだからです。
実際に、1990年代までマネキン人形の顔のメイクは皆外人さんだったし、髪(ウィッグ)も金髪や茶系が多かったし。
「憧れ」や「羨望」で消費する時代ではなくなった!「記号的消費」「顕示的消費」の減退
時代は移り変わり、モノが隅々まで行き渡った現代。
インターネット環境の充実で、SNSからリアルで身近な情報を瞬時に享受できる時代になりました。
「記号的消費」や「顕示的消費」、つまり「人から〇〇のように見られたいから、このブランドを買う」というのが減っている、と言われています。
人々が「憧れ」や「羨望」で消費する時代ではなくなったということ。
ファッション関連の通販サイトでは、ショップ店員のコーディネイト画像をアップしたり、一般ユーザーの着こなし投稿サイトがウケていたりします。
そっちの方が“リアル”だからとても参考になる。
「自分にとってリアル」=「共感」しているわけです。
「共感的消費」が主流になりつつある。
「共感」があって消費が生まれる時代。
ファッション雑誌のモデルの着こなしやコーディネイトが、一般人からすると“リアル”と感じないから「共感」しないように、店頭や売り場のマネキンも“リアル”とは感じないから「共感」しない。
だから、今の時代のお店や施設、売り場のマネキン人形は、体系(スタイル)こそ変わりませんが、マネキン人形自体の存在感をなるべく消すような、全身単色カラー(黒か白)の抽象マネキンやヘッドレスマネキンが主流なんです。
最近、こんな記事を見かけました。
この記事のマネキンは、可動式のフレキシブルマネキンを使用しているので、いろんなポーズがつくれるのですが、店頭や売り場のマネキンを観たお客様が、「おっ!」とか、「まじで!」とか、「??」とか、立ち止まってくれたり、振り向いてくれたりしてくれたら、それはそれで“リアル”に反応してくれるのだからOKなんだと思う。
お店や施設、売り場のディスプレイ・店舗装飾、飾り付けで「マネキン」を使用する際、「憧れ」や「羨望」ではなく、「共感的消費」や「リアルさ」というキーワードに目を向けると、今の時代の人々が求める、今の時代にあった演出や表現ができるのではないでしょうか。
ディスプレイ・店舗装飾、飾り付けを生業にしているボクらは、更なる工夫やアイデアが必要なんだと思う。
だってマネキン人形は、「お客様を招き」入れる店舗装飾・ディスプレイのツールなのですから。
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