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コンビニエンスストアの商品陳列棚・レイアウトには「意図」がある
コンビニエンスストアの商品陳列棚のレイアウトに学ぶ
有名な話ですが、全国のコンビニエンスストアの商品陳列がどれも似通っているのは、それが計算し尽くされたロジックに基づいてレイアウトされているからなんですね。
たとえば、お弁当や飲み物など、最も利用者の多い商品がわざと入口からいちばん遠い位置に置かれているのはそこへ辿り着くまでになるべく多くの商品に目移りしてもらおうという意図による配置です。
お弁当と飲み物の間に、サラダやデザートを配置するのも、ついでにもう一品買ってもらいたいから。
さらにご存知の方も多いと思いますが、雑誌をあんなに日焼けしやすい窓側に並べるのは「立ち読み」という、比較的長時間立ち止まるお客様を外から見せることで、お客様で賑わっている店内の様子を見せ「入りやすさ」をアピールする意図があります。
だから、本屋さんの立ち読みは歓迎されないけれど、コンビニでは立ち読みって、あまり注意されないですよね。
特に深夜は、防犯にもなる。
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「入りやすさ」と言えば、入り口とレジカウンターの配置にもひと工夫があります。
自動扉から店内へ入る瞬間、目の前の店員さんと目が合うと、人は一瞬躊躇します。
「入りにくさ」を感じるんです。
そこで、どのお店もレジと出入口は正面で向き合わない配置にするのですね。
もし、個人商店などで入り口の正面にレジを置いているお店があって、配置を動かしづらいようでしたら立ち位置を少しだけ横にずらして、入店されたお客さまと「眼が合う」ことを極力避けてみてはいかがでしょうか。
逆に、古本屋さんやアンティークショップのような「ひやかしお断り」のお店や売り場では、レジを入口の正面に配置して、「店主が睨みを効かせる」というのも、アリですね。
人間の習性に関する不思議な話をひとつ。
人は壁伝いに、左回りに移動する習性のある動物だそうです。
お店に入っても、特に明確な目的がないお客様は、基本的に壁沿いを左回りに歩き始めるのだそうです。
そこで、飲み物やお弁当、パン、デザート類など、いわゆる「衝動買いしがちな商品」を、壁伝いに配置しています。
逆に文具や生活雑貨、調味料など、明確な目的を持った人が「探してでも買ってくれる」商品は「中島」と呼ばれる店内中央部の商品陳列棚に陳列するのです。
さらに細かい話ですが、陳列棚に並んだ各ジャンルの商品の中で「特に売れ筋の主力商品」を真ん中に置き、その右横に新商品、オススメ商品を並べます。
これは、人の視線は、まず正面を見てそれから右へ視線を移動させる、という習性があるからです。
いつもの商品を買うつもりが、「新発売」の商品や「ちょっと試しに買ってみようかな」という気になる商品を思わずに手にとってしまう、そんな気持ちを誘うための細かな仕掛けです。
コンビニの商品陳列・配置は「売る」「売り込み」を直接の目的にしない。
では、シミュレーションしてみましょう。
お昼にラーメンを食べたボクは、喉が渇いたので、オフィスに戻る前にお茶を買おうとコンビニに入店しました。
自動扉が開くと、まず左側の雑誌棚沿いを歩き、飲料が並ぶ奥の冷蔵庫へ向かいます。
雑誌棚沿いを通りながら雑誌の表紙をチラ見すると、気になる特集タイトルが。
「気になるお腹、夏までに凹ませる!」
興味をそそるタイトル…ちょっとだけ中を確認しよう…。
パラパラっとページをめくって、別に買うほどの内容ではなかったので、「昼夜炭水化物はNG!」のフレーズだけを心に留めて、雑誌を元の棚へ戻して目的の冷蔵ケースへ向かう。
いつも買っている「烏龍茶」を買おうと手を伸ばしたとき、ふと、右隣りの「プーアール茶」のラベルに目が留まる。
「中性脂肪にーー」
魅力的なキャッチフレーズに惹かれ、烏龍茶に伸びた左手を引き、プーアール茶に右手を伸ばす。
「フフフ…夏までには…」などと妄想に浸りながら、のんびりと店内を眺め、さらに周回。
「あ、そう言えば、今日は残業になりそうだから、小腹対策にパンかおにぎりでも買っておいたほうがいいかな…」と歩を進めると、おにぎりの棚にたどり着く手前に、総菜が目線に入る。
さっきの「昼夜炭水化物はNG!」が脳裏を掠める。
「昨日からロクに野菜食べてないしなあ…」、そんな思いに応えるように、サラダや冷や奴、ところてんがズラリ。
迷った挙げ句、蒸し鶏の入ったサラダをチョイス。
連日の「炭水化物食」の罪悪感が、ここで一旦薄まります。
いかがでしょうか。
上記のような購買行動、一度は身に覚えがある方も多いはずです。
毎日のように立ち寄るコンビニでは、多くの魅力的な商品が並んでいて、消費意欲を刺激され、少しずつ購買行動が変わっています。
それは計算し尽くされた、お店側の細やかな配慮により、あちこちに目移りしながら店内を歩き回っているから。
このようなレイアウト、商品陳列の技術は「単に売りたい物を目立たせて売る」ことを目的とせず、直接的には「店内の滞在時間を延ばす」こと、さらに「様々な商品をお客様の目に留める」ことに貢献しているのです。
お客様はあくまで自らの意志で選び、比較し、買う。
時代やシーズンごとに、流行も需要も変動します。
常に、お店や施設、売り場が、時代やお客様の気持ちに寄り添ったレイアウト・商品陳列になっているか、見直してみるのはとても大切なことだと思います。
ご興味が湧かれましたら、是非お試しください。
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