店舗や施設の「販促」のためのディスプレイ・装飾、飾り付け演出【ショーイングのテクニック】
店舗や施設の空間を演出するためのショーイング~3つのポイント
ディスプレイ・ショーイングとは、ある「テーマ」によって空間を構成、演出して、商品のセールスプロモーションを展開することです。
ディスプレイ・装飾というデザイン分野で表現される「イメージ寄り」の演出方法と比較すると、ショーイングは、よりビジネス寄りで、商品の販売促進であり、購買時点での説得力が求められる「商品の販売寄り」の演出方法になります。
つまり、「イメージ」の創造で単に「美しく」演出するだけでなく、
入りやすい店舗、
入りたくなる店舗、
買いやすい商品、
買いたくなる商品、
その商品を買ったらどんな良いことがあるか、
など、お客様に「買いもの」や「買うこと」の楽しさを伝える、店舗や商品の「価値情報」を提供したり、商品イメージの「付加価値」を演出することで、人々の潜在的な欲望を刺激して販売に結び付けることがショーイングの主な目的です。
そのためには、店舗など現場での、飾り付けやディスプレイの基本構成(三角構成やリピート構成など)、演出の技術はもちろん、
何をテーマに、
どんな商品を売ろうとしているのか、
そのお店にはどんな商品が合うのか、
そのお店、売り場、飾り付けのスペースにはどんな条件があるのか、
など、商品や販売に関する知識や考え方などのトータルな情報を、どれだけ掴んでいるかがショーイングのポイントになります。
① 商品構成や店舗設計の『テーマ』をつくる
ある商品、店舗を売り出していこうというとき、まずその商品や店舗の基礎となる「イメージ」や、「テーマ」を決定することが必要になります。
「イメージ」や「テーマ」とは、
何を、
どうやって、
どのように売っていくのか、
消費者は、今、何を求めているのか、
そのような商品の販売計画を「ビジュアル化」する作業です。
ディスプレイ・ショーイングなどのプロモーションを立案するうえで「テーマ」を決めることは、とても重要な作業です。
ビジュアル化される設計図・テーマは、企業、あるいは店舗の経営方針や商品内容、商品管理などを決定する、「販売計画」の一部をなし、企業や店舗、施設の売上げにも大きな影響を与える大切なもので、経営に密接にかかわってきます。
そして、何よりディスプレイプラン・デザイン、アイテムのセレクトなどのクリエイティブ作業は、総てその決められた「テーマ」に添って生み出されるからです。
定められる「テーマ」は、より具体的で、明朗で、要点を絞り込んだ言葉を選び、制作に携わる人々に正確に伝えることが大切です。
「テーマ」によって、全体の方向性が定まり、ディスプレイやショーイングに関わる総てに浸透することで、より効果的なビジュアルが展開できます。
ショーイングは、一個人の趣味趣向では、ありませんし、できません。
ディスプレイ・ショーイングの制作は、一個人の好き嫌いで決められるものではなく、
店舗の条件、
商品の特徴などのセールスポイント、
消費者の環境状況、
社会の動向・トレンド
などを十分に調査し、把握することが大切です。
そのうえで初めて、商品販売の効果的なビジュアル展開ができるようになります。
② テーマ、イメージに合わせてコーディネイトをはかる
「テーマ」「イメージ」など、設計図が出来上がったら、次は実際のモノ集めになります。
どの商品と、どの商品を組み合わせがよいか、
その商品を目立たせるためにはどんなモノ(陳列アイテム等)が必要か、
今、人々が注目しているのは何か、
などを「テーマ」に合わせて十分考慮して、「商品イメージをアピールする」ための関連商品や陳列アイテムのコーディネイト、セレクトを行います。
商品とともに店舗全体のイメージをとらえ、
商品と陳列アイテムを組み合わせて、
指定された空間に「ストーリー」をつくること、
が、コーディネイトの大切な仕事です。
コーディネイトは、「商品と消費者」をつなぐ橋渡し役でもあります。
具体的な作業においては、例えば陳列アイテムなどを揃える場合、
どこに行けば、どんなモノが手に入るか、
その価格はいくらか、
などを正確に知っていることが大切です。
その「引き出し」をいかに多くもつかということ、商品とのコネクションがコーディネイトの基本ともいえます。
③ 現場の空間条件に合わせて飾り付ける、デコレーション
デコレーションは、ショーイングの最終段階です。
商品の意図、または販売の意図にもとづいて、実際に陳列小道具や演出アイテムの制作、そして、現場での装飾陳列を行っていくのがデコレーションです。
デコレーションの主な技術とは、
○商品の特長やセールスポイントをわかりやすく陳列していく「フェーシング」、
○商品をより美しく形づける「フォーミング」、
○商品イメージや商品の魅力を強調して、説得力ある陳列をする「エフェクト」、
○類似商品や関連性の高い商品をグループ分けして強調する「グルーピング」、
○店舗の条件に合わせて売り場全体のストーリーづくりをしていく「スペーシング」、
などがあります。
以上の要素は密接に結びついていて、互いに影響を及ぼしています。
ひとつひとつの要素をつくり上げながらチェックし、全体を形づくる、というイメージですね。
個別にして考えるのではなく、トータルな視野に立って包括的に作業を進めることが大切です。
また、デコレーション技術には、テーマづくりやコーディネイトの作業を把握し、十分理解していることが求められます。
そして、現場の状況に合わせた、的確な判断能力、臨機応変な対応、技術が求められる重要なポジションです。
セールスポイントをアピールするための発想力
ショーイングは基本的に販売計画の一部です。
ショーイングして「美しく飾られた」商品でも、販売に繋がらなければ意味がありません。
販売に繋げるためのショーイングで必要なこととして、第一にショーイングをおこなう商品や店舗の「把握」です。
何を売りたいのか、
その商品の魅力はどこにあるのか、
その商品はどんな人々のためにつくられているのか、
店舗はどんな空間になっているのか、
その場所は商品を見せる場所か、
販売をする場所か、
お客様を誘導する場所か、
など、あらゆる視点から考察し、把握することで、より効果的なショーイングに近づきます。
ショーイングには、商品の特徴をアピールするばかりでなく、消費者の動向や社会現象など、様々な情報をキャッチし、いち早く採り入れるなど、常に社会との関わりをもった情報の収集センスや発想力の豊かさが必要です。
以下は、社会との関わりの上で必要とされる発想の基本です。
ディスプレイ・ショーイングを「発想」するためのヒント
行事・催事
○年間の習慣にともなう行事と催し物(正月、入学式、卒業式、バレンタインデー、ホワイトデー、母の日、父の日、七夕、ハロウィン、七五三、クリスマスなど)
○記念日・地域ごとの祭りなど
実際にあった歴史的意義のある行事や、社会的な催事などは人々の「共感」をよびますね。
社会的なイベントは、ショーイングの「テーマ」にとって欠かせないアイテムです。
※「ディスプレイの年間スケジュール」について【詳しく解説】
【春・夏・秋・冬】店舗ディスプレイ、装飾、飾り付けの年間の歳時記カレンダーとVMDスケジュール
自然の環境・季節(四季)・シーズン
自然環境は日常生活と関わりが深く、いつの時代も変わらずショーイングの基本的なテーマです。
その時期の草花などの植物、歳時記など身近で親しみやすいアイテムです。
※「季節感のカラー演出方法」について【詳しく解説】
店舗ディスプレイ・装飾に役立つシーズン演出するための飾り付けの配色カラーヒント・コツ
社会現象とニュース性
政治、経済、科学、スポーツ、ファッション、芸術、文化など社会的な発見や事件、イベント、トレンド動向といった新鮮な話題や情報はショーイングアイテムとして良質な素材です。
どのようにして、新鮮でタイムリーな情報を盛り込んでいくかということは、ショーイングの大事なポイントです。
そのような、新鮮でタイムリーな情報を得るには、個人的な興味にとどまらず、常に社会現象に注目しておく必要があります。
以上のような情報を豊富に持つことが、ショーイングを効果的におこなう発想力のために必要です。
店舗や商品、社会状況、消費者動向などトータルな視点に立ったショーイングは、お客様に新鮮な感情を与え、心を動かします。
※「ディスプレイ」について【詳しく解説】
店舗を飾り付ける・商品を飾る 〜 ディスプレイ(display)とは
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