ディスプレイや装飾、販売促進ツールのグラフィックデザイン制作するときに注意したい「色」のこと

お店の装飾や販促ツールに頻繁に使用されるグラフィックの出力

最近ではプリンターの性能が格段に上がり、A4サイズとかA3サイズくらいのモノであれば、家庭用のプリンターでもカンタンに出力できたりして、もちろラミネート用の機械なんかも安価に売ってたりしますし、ちょっとしたPOPなんかはお店側でできてしまいますよね。

装飾やディスプレイでもプリンターの出力物はよく使います。

POPやポスターはもちろん、ガラス面や床面に貼っているグラフィックデザインが施された大判の出力シートだったり、お客様誘導用のサインや装飾で使う画像パネルなどの紙類はもちろん、展示会やイベントで使用するテーブルの台幕や外装で使う幟(のぼり)なんかも、紙のプリンターとは別の布専用の出力機でプリントアウトしています。

屋外の大型サインもターポリンという生地などを使った出力だったりします。

 

今や街中で見かける印刷で作られる、装飾物やサイン類、販促物はほとんどが出力シートです。

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このような「出力機でプリントする」装飾物や販促ツールを制作するときに最も注意したいことが「色(カラー)」のことです。

デザインに写真画像を使用している場合は、「見本」となる画像がありますので、見本の色を意識して、そのイメージや雰囲気を崩さないよう調整していきます。

特に、オリジナルでデザインを起こしたディスプレイや装飾という分野での、単色やカラー表現しているグラフィックや素材感、質感など「留意」すべきポイントが多いので、「色の指示」には結構な気を遣います。

広告プロダクションや各種デザイナーさん、または印刷会社さん、ディスプレイ制作会社などのツール制作会社さんとの打合せの際、企画書のデザイン案が固まり「さあ、制作!」というタイミングで、実際につくる「色(カラー)」についてのやり取りが行われますね。

特に単色のカラーの場合は〈色指示〉がしっかり出来ていないと問題が起こります。

 

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グラフィックデザインを店舗装飾・販促ツールで使用する際の「色指示」

通常、デザイン制作はパソコンのソフトを使って画面上でデザインのカタチを創り、デザインのカラーをつけて表現します。

これは平面の印刷物でも、ホームページ制作でも、立体の装飾物でも同じです。

画面上で仕上がったデザインを企画書にまとめ、クライアント(発注者)側に、デジタルデータとしてメールで送って見せたり、プリンターで出力してプレゼンテーションに使用したりします。

この時点では「色」はデザインイメージであり、まだ「色(カラー)」の細かい指定は行われません。

「色指示」は、企画案が決定し、デザインが固まり、図面化して実際のモノの制作に入る際に必要になります。

それは、そもそもデザインをつくるパソコンのモニター画面のカラーと実際の印刷物等のカラーは表現形式が異なるためです。

その都度、デザインのディレクターやデザイナーさんが制作業者さんと図面をもとに打合せして、最期に実際の表現したい「色の指定」について細かくやり取りを行っています。

【RGBとは】

PC画面上のカラー形式はRGB形式と言い、R(赤:Red)、 G(緑:Green)、B(青:Blue)を光の三原色(RGB)といいます。

RGBの三原色の混ぜ合わせを「加法混色」といい、混ぜ合わせるごとに色が明るくなり、白になります。テレビやPCディスプレイ、デジカメの発光体にはこの三原色が使われます。

【CMYKとは】

印刷物はCMYK形式という色表現形式で出力されます。

Y(黄:Yellow)、 M(赤紫:Magenta)、C(青緑:Cyan)を色材の三原色(CMY)といいます。

CMYの三原色の混ぜ合わせを「減法混色」といって混ぜ合わせを 増やすごとに色が暗くなり、黒に近くなります。カラー写真や各種印刷物は減法混色を利用したものです。

(「色(カラー)の基本」について、詳しくはコチラ)

 

 

パソコンのモニターは「光の三原色/RGB」で表示されていますので、印刷用の「色の三原色/CMYK」で正確に置き換えるのは不可能です。

ですので、デザイン制作上は、CMYK形式のデータを作成する必要があります。

家庭用のプリンターはRGB形式に対応されているものもあるようですが、業務用のプリンターは一般的にCMYK形式で出力しています。

(印刷会社によっては、現場で変換してくれる場合もありますがプリンター出力機械が異なると出力するカラーも微妙に異なるので、想像していた色と異なることがあります)

ホームページ制作の「フィニッシュ(成果物)」は、そのまま画面を通して見られるので「光の三原色/RGB」でつくったデザインでも問題はあまりない(※各々モニター画面の設定の違いで苦労する場合も多い)でしょうが、オフセット印刷物やプリンター出力による販促ツールとなると、「光の三原色/RGB」で確認した「色」と、「色の三原色/CMYK」で印刷した実際の出来上がり(成果物)の色が、表現形式の違いで、ご自分が確認して想像していた「色」と異なることがあります。

「青色だったのが赤色になってしまう」という極端なことではありません。

が、人が見える色は通常の状態で187万5000色あるといわれます。

そして、CMYKの色の再現は、《C:0?100%》、《M:0?100%》、《Y:0?100%》、《K:0?100%》の組み合わせで1億種類の色が出来てしまいます。(※実際に使用される色は100種類以下だそうですが…)

これだけたくさんの「色」の中から、実際に使いたい「色」を調整することはとても大事な作業なのです。

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ちょっとした「色」の違いが、全体のイメージを壊したり、「違和感」に繋がることも

RGBとCMYKの違いだけではありません。

色彩には、トーンや明度、彩度などがあります。(「色(カラー)の基本」について)

同じ青色でも、「薄い青」「濃い青」「明るい青」「渋い青」

同じ橙色でも、「黄色に近い橙」「赤味が強い橙」「青味が強く渋い橙」

など、様々あります。

また、紙、布、塩ビシートなど印刷(プリント)するメディアによって「色」のノリ方、つき方が異なり、同じ紙だけでもマット紙と光沢のあるコート紙では発色が異なってきます。

ちょっとした「色違い」で、せっかく創った制作物のイメージが思っていたモノとは全く違うイメージになってしまったり、ツールによって「色(カラー)」がマチマチだったりすると、店内に取り付け飾ったとき、「変な違和感」を感じることになってしまいますね。

「色」は店舗運営における「視認性」や「イメージ」といった「視覚表現」の中でも大事な要素のひとつです。

「違和感」を感じたお客様から、わざわざ販促ツールに対して「クレーム」がつくことはありませんが、一瞬「?」と思われてしまう。

「違和感」がある色(カラー)の装飾や、販促ツールを見た人の「印象」が良くなることはありません。

なるべく販促物や装飾など店舗のツールは「色の統一」を図って、見た人に「違和感」が起こらないように制作したいものです。

実際にモノを制作する会社(印刷会社や装飾・POP制作会社)にデザイン制作までトータルで依頼していれば、打合せ等で詳細な「色指定」が可能なんですが、デザイナーさんと制作会社に分離発注する場合などは十分気を付けたいですね。

 

 

印刷物制作におけるグラフィックデザイン制作の「色(カラー)指示」の方法

デザインはプロセスカラー4原色の濃淡を数字に変換して「色」を表現する。

「色(カラー)」は、基本「赤」→「橙」→「黄」→「黄緑」→「緑」…といように色の名称がありますが、オフセット印刷やプリンター出力などで、「色をインクの色に置き換える」販促ツールを制作する際は、基本プロセスカラー4原色「CMYK」を使用して色再現します。

「CMYK」各色の濃淡を網点(あみてん)面積率(%)《C:0~100%》、《M:0~100%》、《Y:0~100%》、《K:0~100%》に変換し、それらの組み合わせにより微妙な色を調整し色彩を再現するのです。(CMYKの組み合わせで一億通りあるといわれています)

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ただし、この「CMYK」による色の表現も、パソコンのモニター画面上のもので、個々のモニターやプリンター機器によって出力される実際の人の目に見える「色」は異なってきます。

そこで「カラーチャート」等による色再現の見本などで、実際に表現したい「色」の目安として確認することが大切です。

 

 

DICカラーガイドの使って、色指示する。

DICカラーガイドとは、DICグラフィックス株式会社(旧大日本インキ化学工業)というインクメーカーが発行している色の見本帳です。

印刷業界に限らず、ファッションデザイン、ディスプレイ・装飾、サイン、インテリアデザイン、プロダクトデザインなどで幅広く活用されています。
特に印刷会社やグラフィックデザイナーなど印刷関連業務で、色に関しての意思疎通のための大切なツールです。

 

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デザイン制作のディレクターやデザイナーさんが、実際に表現したい「色」をDICのカラーチップで色指定をします。

制作会社や印刷会社は、このカラーチップをもとに色調整を行い、出来るだけその指示された「色」に近づけていきます。

特に素材の質感等で色の発色が変わる生地などは、この「色指示」を目安として、サンプルを数回出力しながら「色」調整し「指示カラー」に近づけています。

最近ではパソコンソフトの高性能化で「デジタル」での入稿が一般的になったこともあり、制作サイドのデザイナーさんがDICのカラーチップで色指定することは少なくなったようです。

しかし、販促ツールやディスプレイ・装飾で展開するときは、様々な制作会社さんが入りツールの制作を行うわけですから、「DIC指定」での「色(カラー)」統一が一番確実な方法です。

 

 

 

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野村 健(Takeshi Nomura)

有限会社次元クリエイト 代表: お店や施設、売り場のディスプレイ・店舗装飾、季節の飾り付け、POP(ポップ広告)制作を中心に、《集客》のための販売促進ツールのデザイン企画・制作、装飾品・インテリア・販促品の販売を行っています。 目指すことは、単なる「飾り」や「デザイン」ではなく、《共感性+意外性=面白い!》をテーマに、購買時点で消費者に「伝わる」《情報発信ツール》として、実店舗のディスプレイ・店舗装飾・季節装飾等の販促物制作を提供したい、と考えています。〜加盟団体:福岡県中小企業家同友会会員