ディスプレイ・装飾のアイデア~「壁面緑化」による店舗や施設の外観ディスプレイ・装飾
年々高まる「緑化」への人々の関心
「壁面緑化」や「屋上緑化」など緑化事業に取り組む企業やビルが増えていますね。
年々、街の「緑化」への関心は高まっていて、省エネルギー対策に緑化事業が有効であることなどから、官民一体で様々な取り組みが進められています。
人々にとって緑(グリーン)に囲まれて生活することは、とても心地よいことです。
都会の喧噪の中で、そんな緑(グリーン)を観ると、自分自身では気づかないうちに「安らぎ」を感じたり、「ほっ」としたり、するものです。
オフィスビルやファッションテナントビル、ホテルやレストランなど、街中に「緑」が増えているということは、環境的にも、心理的にもとてもいいことだと思います。
官民一体となった「緑化事業」
「壁面緑化」のイメージは、ツル性の植物を建物などの壁に這わせ、壁面を覆うものですね。
高校野球の「甲子園球場」でお馴染みでしたが、今は残念ながら改修工事の際に伐採されて無くなっています。
ビルやマンションなどの建築物が建ち並ぶ街中での「緑化」は、周囲から目に留まりやすく、人々をリフレッシュさせたり、安心感を与えます。
植物を使って建物を覆う手法は古くから存在し、ツタが絡まる建築物は世界各国でも見られます。
日本でも甲子園球場と同様に、古来より暑い夏にツル性のヘチマなどで、いわゆる「植物のカーテン」で屋内を涼しげにする習慣があったり、寒さの厳しい地方では屋根に生やした草が断熱材の役割を果たし、寒さを防ぐといった手法がありました。
最近になって、環境問題への対応から「壁面緑化」や「屋上緑化」として、建物の屋上・壁面を緑化することで
「美観の向上」
「省エネルギー対策」
「周辺住民の憩いの場の形成」
など、様々なメリットを期待して事業化しています。
自治体によっては、屋上・壁面緑化の自発的な取り組みに対して、整備費用の一部を助成するところもあるようですし、
壁面緑化用に開発された、メンテナンスの効率を目指した「給水機能を配備した緑化パネル」や、軽量化を見込んだ「土に代わる新素材」を開発して新しい緑化システムを提案している企業も出てきて、「緑化事業」が一層盛り上がっているようです。
壁面緑化の手法
壁面緑化を設置する壁面の状況(設置作業・メンテナンス時)や、温度・日照などの環境、潅水、風対策等を十分考慮し、適切な植物・システムの選定をすることが大切です。
○植物を下から登らせて緑化する『登はん型』
つる植物全般。
直接壁面を登はんする「付着根」をもっているつる植物を利用する工法(自立登はんタイプ)と補助材(格子状のネットやワイヤーなど)を壁面に設置し、そこにつる植物を這わせて緑化させる方法(補助材登はんタイプ)があります。
メンテナンスの容易な緑化。
○植物を上部から垂れ下がらせて緑化する『下垂型』
つる植物全般。
壁面上部、または途中に植栽基盤やプランター等を取り付けて、つる植物を下に垂らして壁面を覆う方法。補助資材なし。
植物の選定によってはメンナンスが容易な緑化。
○緑化用のコンテナやパネル・金網など植栽基盤を壁面に取り付けた『植栽基盤造成型』
つる植物全般、地被類、木本類。
壁面に緑化パネルやプランター等を直接、またはフレームなどを設置し緑化する方法。
早期の緑化が可能で壁面緑化効果効用が高いが、自動潅水装置が必要で植物の植え替えなどメンテナンス費用がかかる。
以上、大きく分類すると3つの方法があります。
様々な状況に応じて、それぞれの最適な手法を選定します。
壁面緑化の注意点
植物種の寡占化。単調な緑化が急激に進むと「害虫の大発生」という懸念も。
「壁面緑化」の懸念材料として、広大な面積を使用する「壁面緑化」による植物種の寡占化、単調な緑化の急激な増加などによる「害虫の大発生」ということが問題になります。
植物の特性等を十分考慮し、植物種を多様し分散にすることでリスクを抑える必要があり、そのためには植物の選定・計画を綿密に立てる必要があるといわれています。
また、植物は「生き物」です。
潅水(水やり)、繁茂した場合の処置、高所での作業、殺虫剤散布、枯れ葉などの処置、清掃などメンテナンスの費用が必要になります。そのための予算等は計画段階で検討しておくことが大切です。
ビルなどの建物、店舗の入口導入部・ファサードの「壁面緑化」は外観のディスプレイ・装飾です。
無機質なコンクリートの外見よりも、緑々とした植物の方が景観的にもデザイン的にも注目されます。
しかし、植物は「生き物」です。
「生きた植物」は、省エネ効果やイメージの向上、人々に「安らぎ」や「安心感」を与えてくれるなど様々なメリットがありますが、メンテナンスの難しさや植物の知識、周辺への配慮など大変なこともたくさんあります。
「植物を育てる」知識を得て、「生きた植物」と共に生活するメリットとデメリットなどをよく理解した上で、綿密に計画を立てる必要がありますね。
ご興味が沸かれましたら、ぜひお試しください。
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