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お店や施設、売り場の効果的なディスプレイ・店舗装飾、飾り付けのヒント
このブログでは、お店や施設、売り場のディスプレイ・店舗装飾、飾り付け、POP((ポップ広告)の「お役立ち情報や豆知識」を紹介しています。
ディスプレイ・店舗装飾、飾り付けを導入するための基本的な考え方やコツ、アイテム紹介はもちろん、展開の方法や、販促や集客企画の手法、ビジネス・商売に関する「気づき」、思いつきのアイデア、仕事に対する「ヒント」まで、店舗装飾、飾り付けの仕事を通して、思ったこと、感じたことを個人的な見解で発信しています。
今回は、「モノを売るな!体験を売れ!」で有名な藤村正弘さんのエクスペリエンス・マーケティングのお話しです。
「モノ」を通して得られる「体験」を訴求する、エクスペリエンス・マーケティングの考え方
皆さんはエクスペリエンス・マーケティングってご存知ですか?
「エクスペリエンス」、
あんまり聞き慣れない言葉かもしれませんね。
「エクスペリエンス」=「体験」。
藤村正宏(ふじむら・まさひろ)さんという方が発案されたマーケティング手法というか、概念です。
この方、すごく面白くて、今、このマーケティングの考え方を、セミナーへの参加、ブログや著書、FaceBookなどを通して、夢中で勉強してます!
実は、ボクが勤めていた(株)京屋というマネキン・ディスプレイ会社の大先輩だったんです。
お店や施設、売り場、アミューズメント施設などのウィンドウディスプレイや店舗装飾という同じ業界の仕事をされていたから、その筋で藤村さんが言われていることにハゲシク同感出来るんです。
お店や施設、売り場の販促や集客、ディスプレイ・店舗装飾、飾り付けに、リアルに役に立つ考え方だと思ったので、ボクなりに解釈したことをご紹介します。
とても簡単に説明してしまうと、マーケティングの考え方、販促物の手法の視点を、「モノ(商品あるいはサービス)」から「コト(体験)」という視点に変えるだけで、人々への伝わり方が随分変わる、ということ。
「モノ消費からコト消費へ」。
ビジネス書とかで、よく見かけるコトバです。
エクスペリエンス・マーケティングは、そこをもう少し、掘り下げて表現していて、
「モノ(商品・サービス)を通して得られる「体験」を訴求することで、人々の「興味・関心」を引き起こし、集客や販売促進に繋げる」
ということを、提唱されています。
「モノ」から「コト」を表現した有名なCMキャッチコピー『モノより思い出』
「モノ消費からコト消費」で、実例をひとつ。
「モノより思い出」
日産自動車「セレナ」のCMで使われたキャッチコピー。
覚えている方も随分いらっしゃるかと思います。
モノに溢れた時代の、モノが売れなくなってきている現実を的確にとらえた、当時話題になった有名なコピー「モノより思い出」。
このCMコピーは、車(モノ)のスペックやデザインの良さなど「商品情報」ばかりをアピールにするのではなく、あえて、夏休みの子どもたちとキャンプや海に出掛けて、アウトドアを楽しむ、という映像シーンの最後に上記の「モノより思い出」というキャッチコピーが入ります。
人々に「こんな車があったら、こんな思い出や体験ができますよ!」という演出。
消費者に、この車を買うことによって得られる「体験」こそが、本当の「購入の目的」であることを、気づかせたCMなんです。
人は様々なモノに興味や関心を抱き、「欲しい」と感じて購入しますが、その目的は「思い出」であったり「体験」である、と。
物質的な「モノ(=商品)」そのものが欲しいわけではなく、その先にある「ステキな思い出や体験」を手に入れたい、ということです。
その「体験」を明確に訴求することで、見事に人々の「興味・関心」を引き起こし、集客や販売促進に繋げた実例です。
『SIPS』という現代の消費者の行動モデル
「明日の広告」(佐藤尚之著:出版社/アスキー (2008/1/10))という名著があります。
元電通の「サトナオ」さんです。
そのサトナオさんが提唱(2011年、電通「サトナオ・オープン・ラボ」(後の電通モダン・コミュニケーション・ラボ))した『SIPS』という消費行動プロセス(「AIDMA」や、「AISAS」などが提唱されてきました)があります。
『SIPS』とは、従来のAIDMA(アイドマ)やAISAS(アイサス)に取って代わるものではなく、ソーシャルメディアが十分に浸透した時点での、ソーシャルメディアに関与が深い消費者の行動モデルの考え方です。
ソーシャルメディア時代の消費行動プロセス『SIPS』
S:(Sympathize:共感する)
I:(Identify:確認する)
P:(Participate:参加する)
S:(Share & Spread:共有・拡散する)
※「SIPS」について詳しくはコチラから
2011年に提唱されたことなんですけど、4年経過した今現在、SNSのさらなる発展もあって『SIPS』のリアリティは益々増している感さえあります。
「明日の広告」を読んだとき、また『SIPS』を知ったとき、概ね理解できたし感動もしたのですが、
「共感を持たれる」具体的な方法や表現をどうするのか、
という壁にぶつかりました。
いかに、消費者に「共感」される広告、「共感」を得られる販促物、アプローチ表現するか、という課題。
話しを元に戻します。
この『SIPS』の「S」、つまり「共感」の部分が、エクスペリエンス・マーケティングの「体験」を訴求する、という部分と深く結び付いていると思うんです。
エクスペリエンス・マーケティングは、
人々から「共感」されるための、
人々から「共感」を得られるための、
具体的な手法のひとつだと思うんです。
「体験」を語ることで、人々はより「共感」しやすくなる。
人々にとって【共感】とは、
【共感とは】
他者と喜怒哀楽の感情を共有することを指す。
もしくはその感情のこと。
たとえば知り合いがつらい表情をしているとき、相手が「つらい思いをしているのだ」ということがわかるだけでなく、自分もつらい感情を持つのがこれである。通常は、人間に本能的に備わっているものである。
共感性がたとえば友情を生み出す。
友人になったきっかけは、「何となく」であることが多いが、「何となく」の本性は、共感性である。
引用:ウィキペディア「共感」より
つまり「共感」とは、誰かが「体験した感情」を、他者が共有することであり、誰かの「体験」に基づく感情です。
だから、集客や販売促進(セールスプロモーション:Sales Promotion)のひとつとしてのエクスペリエンス・マーケティングのポイントは、
「体験」を語ることで、より「共感」を得やすくなる、ということなんだと思います。
「モノ(商品・サービス)」を通して得られる「体験」を伝えることで、価格以外の「付加価値」を消費者に訴求し、消費者の「興味・関心」を想い起こさせ、「共感」を得たうえで、「購入」に結び付ける。
という、今までのマーケティングとは少し「視点」を変えた手法です。
日産自動車「セレナ」のCMキャッチコピーは、「モノより思い出」という言葉で、多く人々からの「共感」を得たわけですね。
価格やスペック以外の「付加価値」に気づいた人々が、「モノを与えるより、思い出をつくってあげたい」という考え方に「共感」した。
実際に、その後ワンボックスカーのブームが到来し、ファミリーでアウトドアを楽しむライフスタイルが定着しましたね。
まとめ
モノや情報が洪水のように溢れる現代社会、「注意(Attention)」をひくことが最優先、という図式は成り立っていません。
企業やお店からの一方的な商品情報だけでは、人々はほとんど「興味・関心」を持ってくれなくなった時代です。
だから、これからは「モノ」だけではなく、「体験」という「付加価値」を売らなければならないのだと思う。
販売している商品やサービスを、単なる「商品」、「サービス」と考えるのではなく、購入したお客様が、その「商品・サービス」で、どういう「体験」を得ることができるのか?
という「付加価値」視点で表現する広告物が、消費者に「伝わる」販促になるのではないでしょうか。
エクスペリエンス・マーケティングは、モノや情報が溢れる時代のマーケティング、販売促進、集客のひとつの方法として、とても参考になる具体的な手法であり概念だと思います。
そして、お店や施設、売り場のディスプレイ・店舗装飾、飾り付けにも必ず役に立つと考えています。
ご興味が湧かれましたら、是非一度お試しください。
※「ディスプレイ」について【詳しく解説】
お店を飾り付ける・商品を飾る ~ ディスプレイ(display)とは
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